第十四回 / 出会いと別れ
どんな会社にも、人の入れ替わりはあります。当然、弊社にも出会いがあって別れがあります。
今回は、そんな話を聞いてください。
その子は、とある会社で一生懸命働いていました。様々な事を経験し、初めての正社員としての勤務でした。彼女は社会人としての自覚を持ち大人としての一歩を歩み始めようとしていたのでした。
しかし、実はその会社がブラック企業でした。
働けば働くほど、仕事量が増えていきます。どんどん自分の時間が無くなっていきます。皆様も経験したことがあると思いますが、「やればやるほど仕事が増える」「やればやるほどノルマが増える」の悪循環にはまっていました。彼女は、肉体的にも精神的にもとても疲れていたと思います。
そんな時に彼女と出会いました。「こんな風に彼女と出会った。」と書いてますが、ただ弊社で面接をしただけです。仕事とプライベートを充実させたい、という思いを私に伝えられました。
弊社は、自称ブラック企業ではありません。
いや、当然ブラック企業ではありません。
弊社で実力を発揮いただき、また仕事とプライベートも両立できる環境を提供したいと思い、一緒に働くことを決意し、採用しました。
弊社は、比較的若いスタッフが多いです。20代のスタッフが大勢勤務しております。私もそうでしたが、20代の頃は全くの世間知らずです。その時に教えていただいたことが今でも仕事の基本にあります。だから、弊社で一緒に働く限りは、将来どこに出してもはずかしくないような人材になってもらおうと、私自身も可能な限り仕事のやり方を伝えようとします。もちろん、聞かれればプライベートなことも協力します。
歳を取れば、もっと楽しいことも増えますが、20代の自由をともなう楽しい時間を弊社で過ごしてくれているのだから、私は将来を見据えて永く働いてもらえたらな、と考えるのです。
しかし、必ずくるのです。
恐怖の時間が。
他のスタッフが帰った私と彼女しかいない時に、
「少し、お話があるのですが。」
えっ、
少し、ってなんじゃい。
お話、って何やねん。
絶対、辞めるって言う話やん。
やっぱりなー。
そんな気、しとってん。
※心の中の関西弁があふれ出ました。
そう、彼女はやりたいことが見つかってしまったのです。やりたいことが見つかる、とてもすばらしいことです。やりたいことで飯が食える、なんてすばらしいことでしょうか。この思いには、何にも勝てません。やりたいことがみつかれば、私としては応援しないといけません。やめてほしくないので、止めようとおもいますが、やりたいことのある人には何を言っても無駄です。時間の無駄です。もう、応援するしかないのです。
この状況になると、辞めるのは決定的なので、自分の娘を嫁に出す気分になります。ちょっと大げさですが、そんな感情になってしまいます。
ちなみに私は娘を嫁に出したことはありません。娘はまだ、中学生です。
関係ない話ですが、つい先日友人の結婚式に出席しました。花嫁の手紙、あれはダメですよね。私は誰の結婚式でも号泣してしまいます。自分の娘の時はどうなるのでしょう、今から不安です。
さて、辞めたあの子はどうしてるのでしょう。
風の便りで聞きました。
毎日楽しく過ごしているそうですね。
自分の未来のために頑張っていることでしょう。引き続きご活躍を祈っております。