第十三回 / 時計の似合う男
時計に興味を持ち始めたのは、大学生の頃です。
毎年、時計を購入していました。金額は1万円程度。
新しい時計を買っては、古い物は後輩にあげていました。
大学の授業に私の代わりに出席してくれた、かわいい後輩へのプレゼントとしていました。
ある時、ふと考えました。
毎年時計を購入すると、まぁまぁの金額になるよな。
60歳まで働くと考えて約40万円。40万円あれば、結構いい時計が買えます。
ならば、毎年購入するのを辞めて、かっこいい高級時計を買ってみよう。
それからは、バイトの日々です。大学生の夏休みをほぼバイトに捧げました。
学生が40万円を稼ぐのは中々難しいものです。
やっとの思いで40万円を稼ぐことができました。
そして、遂に高級腕時計を購入することができました。
それは、なんとロレックス。
ロレックスのサブマリーナです。
買った時代はバブル景気、円高です。
たしか、36万円くらいで購入しました。今購入するともう少し高くなっていると思います。
一生、時計を買わない。そう、誓いました。
それからの人生はロレックスと共にありました。
いついかなる時も左腕にはロレックス。
しかし、当時の私は20代。
残念ながら左腕の時計だけが、全く似合っていません。
当時の服装は、夏は白いTシャツにリーバイスの503。関係ないですが501ではなく503が、なぜかかっこよかった。
冬はアウターにスタジャンを羽織るだけ。
この格好にいい時計は、やはり似合いません。
一点豪華主義として、「いい時計と靴を持て」といいますが、いい時計だけ持っていてもダメです。
やはり、バランスは大事なのです。
この頃から、いいものを長く愛用するという考えを持ち始めました。
まずは、服装から変えていきました。
夏は白いTシャツはそのまま、下はリーバイスの503から501へ。やはり、夏はTシャツにジーパンがかっこいいと思っているのであまり変化はありません。
どうでもいい話ですが、503から501へと少し股上が浅くなりました。
しかし、冬は大きな変化がありました。
スタジャンからスカジャンへ。そしてスカジャンから革ジャンへと。
大人の男が着るアウターを羽織るようになりました。
だんだんと時計の似合う男へと成長していきました。
それから、20年が経ちました。
ここで懺悔です。
ここまで、時計は全く買わなかったのですが、遂に買ってしまいました。
なんと、それはGショック。
頑丈な所に、憧れてしまった。
ロレックスを大事にしてきた反動で。
Gショック、どこにぶつけてもヘッチャラ。
しかも、太陽がある限り、止まらねー。
サブマリーナは、自動巻きなのですぐ止まる。
Gショック最強。
そして、現在。
左腕には、何もありません。
スマホです。いつでも、右後ろのポケットに入れてます。時間はいつでも確認できます。
最後には、時計を持たなくなりました。
しかし、私は時計のおかげで、いいものを長く大事に使うことを覚えました。
ちなみに、20代の頃に着ていたスカジャンは、まだ所有しています。
今は、娘がそれを着ています。